お手入れって

どの部分のお手入れをするつもりですか?

お手入れといってもどこをやるのかによってやり方が変わります。

たんすの表面?それとも引き出しの中?

ようするに、「仕上げてある場所」と「仕上げてない場所」で、やっても良いこと悪いことがあります。

仕上げをしてない場所のお手入れ

↓わかりやすく写真で説明すると

色を塗って仕上げてない引き戸の中の収納部分

引き戸の中

↓引き出しの中も色を塗って仕上げてありませんよね。

引き出しの中

水拭き

「引き戸の中」や「引き出しの中」などは水拭きが出来ます。

水拭きといっても水を絞り切らずポタポタ垂れるような状態で拭いてはいけません。

桐はとても吸収力の高い木ですから、水浸しにしてしまうと木を伝って仕上げてある部分にまで水を吸い上げてしまうからです。

そうなってしまうと、仕上げてある表面をじかに水拭きしてしまうことと同じになってしまいます。

桐たんすの仕上げは一度水がついてしまうと乾燥すると染みになってしまいますので水の取り扱いには十分に注意が必要です。

水拭きする際には、水をキツくキツく絞ってから仕上げた部分につけないように拭いてください。

ワックス

結論から言うと

ダメ!

それはなぜか?

「水拭きの代わりにワックスを塗ったら艶もでるし良さそう」なんて思ってる人いませんか?

たしかに見た目や触り心地はよくなるし、一手間かけた感じが箪笥に良いことをしたと思いがちです。

「え、だってワックスなら桐の呼吸を妨げないし、使うワックスは植物性で人体にも害はないのよ」って考えがちですよね。

何がいけないのかと言うと

ワックスには油分があります。

実際、ワックスを塗った所を触るとヌルっとしませんか?このヌルっとするのが油分なのです。その油分が指や手について、たんすの引き出しの表面(仕上げ部分)につくとシミになるわけです。

キッチン周りの油汚れってなかなかとれないでしょ?それと同じで油は乾燥しにくいものなんです。

ワックスは大事にしたい、綺麗につかいたい、そんな思いからついついやってしまいがちなお手入れ方法です。

桐たんすだけでなく、中に収納した着物などにも油分がついてしまうのも心配な所です。

 

仕上げてある部分のお手入れ

たんすの表面は「トノコ仕上げ」と呼ばれる伝統的な手法で仕上げられています。

仕上げ箇所

水拭き

トノコで仕上げてある箪笥の表面を水拭きなんて絶対ダメ!

いつも綺麗な状態にしておきたい気持ちでついついやってしまいがちです。

「たんすの表面は水拭きは絶対ダメですからね」と言った次の日に「水拭きしてしまってシミになってしまったので何とかなりませんか?」と相談されることもありました。

お客様いわく、「本当に綺麗な仕上げでうれしくなってしまい、ついついやってしまいました」と言われてました。

どういうことかと言うと、すごく気に入った物って触りたくなってしまうものなんですね。気にいった物を大事にしたい、いつまでも綺麗であってほしい、そんな欲求が芽生えてしまうのかもしれません。

逆に、そこまで気に入ってもらえたことがうれしくもありました。

ワックス

200%ダメです!

もうお分かりだと思いますが、艶出しワックスや、整髪料など、油分を含んだものが付くと油染みになってしまいます。

整髪料でポマードをつけてる人も注意が必要です。ポマードをつけた髪の毛を触った後に桐たんすを触ると、これもまた油染みになります。

「油染み」は「水染み」よりもやっかいです。

とにかく乾かないです。濡れたような染みがずっと残ります。

水染みでしたら、仕上げ直しで済むかもしれないですが、油染みですと、削り直しを必要とするかもしれないです。

乾いたやわらかい布で拭くだけで十分です

桐たんすの表面のお手入れをする時は、手が濡れてないか(湿ってないか)を確認してください。

目の粗いタオルは、あまり好ましくありません。固くて目が粗いと強く拭くと傷になる可能性があります。

綿100%の布があればベストです。

なければ、いらなくなった白いTシャツなどの袖などの縫い目がない箇所を切り取って使用する。

ホームセンターなどで売ってるウエスなどでも良いでしょう。400円ぐらいで売っていたと思います。量が多いですが。ウエスもなるべく縫い目のない部分を切り取って使うようにしましょう。縫い目は固いので傷をつける可能性があります。

拭く時は、力を入れずサッと拭いてホコリが取れる感じで十分です。

 

桐たんすの修理やリメイク、古い家具の塗り直し