鑿で修理桐たんすの引き戸の壊れた箇所を削り取っている写真です

わたしの所では手道具の作業が多いです。最近では電動道具もかなり普及してきて便利になってきていますが、桐たんすの作業は細かい所または仕上げの鉋がけなどは人間の手でやるしかなく、また手道具のほうが精度が良いのですがその分手間がかかります。

桐材を大雑把にカットする時などの機械はとても便利で昔はそれさえも手道具に頼るしかない時代もあったわけです。それしかない時はそれが当たり前で大変な手間をかけていたと考えられる。

鑿や鉋をよく使う仕事ですので道具はちゃんと管理して置かないと仕事が遅くなるだけなんですよね。いつも鑿が切れる研いでおけば使う時自分の思うように働いてくれます。

職人の朝は早い

めんどうだ、そんな時間はない、おろそかにしていると結果仕事が遅くなるのは当然な結果。急がば回れって感じです。もちろん鉋の刃を仕事中に研ぐなんてことはしません。仕事を始める前、仕事を終えた後などに研ぐわけです。

職人の朝は早いと言われるのはこのためなんですよ。職人は時間が来たらすぐに仕事に取り掛かりたい、それまでには準備を終えておきたい。これは職人に限った話ではないのかもしれませんね。どんな仕事でも仕事の出来る人は準備に時間をかけるものではないかと思います。わたしが仕事が出来る人間かどうかはよくわかりませんが、早さで言えば、わたしはそれほど早いほうではないと思っています。

これはこのくらいでいいんじゃない?なかなか妥協もできないんですよね。まぁ職人なんてみなそんな気質なのかもしれません。職人気質にも困ったものです。ですが手間をかけても納品して喜んで頂いた時のお客様の顔を見ると、あの手間は無駄ではなかったと思えるのです。

道具を大事にするのは一流のスポーツ選手も同じ

野球選手だって自分の道具、例えばグローブやバットを念入りに手入れをしているはずです。いざ試合になってグローブが使いにくいからエラーしましたって言ったって言い訳でしかありません。グローブを自分の手足のように使えるように型をつけたり柔らかくしたりしながら自分用の道具に仕上がります。

それと同じで桐たんす職人の手道具も自分の使いやすいようにカスタマイズしますし、いつでも切れるように手入れをします。これをおろそかにしているようではいい仕事は出来ないと思っています。

桐たんすで使う鑿も鉋も複数持っているのが普通ですが、手入れをおろそかにして状態の悪い道具ばかりになってしまうと、すべての道具の手入れをするのに1日いや2日作業になってしまうかもしれないので、一日の始まりまたは、一日の終わりに手入れするんです。

あのイチロー選手も道具を大事にする話は有名ですよね。

桐たんすの修理やリメイク、古い家具の塗り直し