お預かり時のお写真


修理内容
- 丁番以外の金具は現在の物を使用
- 本棚内部の底に下地補強とベニヤの取り換え
- ガラスのクリーニング
- 扉がスムースになるよう調整(丁番金具は取り換え)
- 本棚内部を外側と同じ色味で塗装
- 本棚の外側の保護膜を磨いてラッカーで再塗装
金具外しとガラスの取り外し

修理や塗装がやりやすいように金具を外します。

ガラスを扉から取り外していきます。

扉の裏の両サイドの細い木材に小さい釘が打たれており、この釘を外すことで細い木材が浮き上がりガラスが取れる構造になっていました。

この釘を慎重に抜いていきます。

ガラスは扉1枚につき3枚のガラスで構成されていました。

ガラスを綺麗に取り外すことが出来ました。
本棚内部の底部分の修理

本棚内部の底部分がタワんでしまっていました。
重たいものを乗せるとさらにタワむか底が抜けてしまう恐れがありますので下地の補強をしていきます。

底部分のベニヤを剥がしました。
四方でのみ支える形でしたので、どうしてもタワみが出やすい構造です。
ベニヤは湿気などを吸うと変形しやすいのも原因の一つかと思います。

写真のように加工した角材を取り付けます。
釘などを使わなくても十分な強度が出ます。
「相欠き」っていう継手の応用になります。

縦だけじゃなく横方向にも下地1本入れました。

接合部はこのようになっています。

ボンドをつけて圧着させれば下地の完成です。

両サイドはベニヤを溝に入れる構造でしたので、溝に入る部分と入らない部分を切り欠きしました。

綺麗に収まりました。

18ℓの灯油が入っているポリタンクですので、容器と合わせると15㎏あります。
この程度ではビクともしません。
もう一つ載せても大丈夫かもしれません。
強度としては十分かと思います。
扉受けの取り付け

扉受けを取り付けていきます。
取り付ける位置の部分のベニヤを切り欠きしていきます。

扉を閉めた時に本体と扉が丁度面になるように取り付けました。
裏板の補強板

本棚の裏を見ると赤丸以外には三角の補強板が入っていますが、赤丸部分はそれが取れてしまっています。


新しい板をゴム系の接着剤で取り付けます。

綺麗に取り付けが終わりました。

本棚の背面の四隅に取り付けられている三角形の板は、一般に「隅木(すみぎ)」や「コーナーブレース」と呼ばれる補強材で、主な目的は本棚のねじれや変形(特に平行四辺形状に歪むこと)を防ぐことです。
イメージとしては、長方形の枠は力を加えると簡単に平行四辺形に変形できますが、三角形は辺の長さが固定されると形が変わりにくいので、構造が安定します。
棚受けの制作

おそらくですが、同じ木材と思われるものがありましたので、それで新たに棚受けを2つ制作しました。
塗装前の準備

細かい粒子のサンドペーパーで表面を磨いていきます。
表面に付着した汚れや埃りなどを取り除き、顕微鏡で見るとわかるレベルの傷をつけていきます。
ツルツルのものには塗装は乗りずらく乗ったとしても時間経過でペロンと剥がれる可能性があります。
塗装

本棚の塗装面に似たような色味を薄めた塗料で塗ります。
細かい傷などはこれで目立たなくなります。

しっかり色をつけるのが目的ではないので、すぐに拭き取ります。

本棚の内部の底は新しいベニヤを取り付けたので本棚と同じ色味になるように色をつけます。

半艶のセルロースラッカーで色止め、表面保護、少しの艶だしをしているところです。
ガラスのクリーニング

ガラスクリーナーで漬け置きして表面の汚れを浮かしてから拭き取ります。

表面にはたくさんの汚れが付着していました。

汚れの拭き取りをして、取り切れない汚れは、クリーナーを吹いて漬け置きしてから拭き取りを繰り返しました。

ガラスのクリーニングが終わったので、扉の元あった場所に戻していきます。
金具の取り付け

本棚の元の金具を元の場所に取り付けているところです。

丁番だけは扉の開閉で音鳴りもありましたので新品に取り換えました。
同じようなデザインの丁番がありましたので、これを取り付けいたしました。
本棚の再生完了写真

今回の本棚の再生では、新品同様の状態を目指すのではなく、長年の使用によって失われた機能を回復し、今後も安心して使い続けられる状態に整えることを重視しました。
家具には長い年月の中で刻まれた傷や色の変化があります。そ
れらは単なる劣化ではなく、その家具が歩んできた歴史の一部でもあります。
そのため今回の修理では、傷や経年変化をすべて消し去るのではなく、本棚が持つ雰囲気や風合いをできる限り残しながら、ぐらつきや破損など使用に支障のある部分を修復し、仕上げを整えるという考え方で作業を進めました。
新しく作り直すのではなく、これまでの時間を受け継ぎながら、これからも使い続けられる状態へと再生することを目指した修理です。





本棚の扉の錠受け金具が生きていて、偶然ですが工房にある鍵と径が一致していたので鍵がかかります。
納品後の据え付け後

後日、ご依頼者様より設置後のお写真をお送りいただきました。
偶然にもドア枠などの色に合っていて、とても馴染んでいることに私自身驚きました。
修理を終えた本棚がご依頼者様のお部屋に収まり、その仕上がりを喜んでいただけたことに安堵するとともに、大変嬉しく思いました。
修理を終えた本棚が新たな環境に馴染み、再び暮らしの一部として使われている様子を拝見することができ、私にとっても大変嬉しい瞬間となりました。
家具の修理は納品がゴールではなく、その後も暮らしの中で使われ続けてこそ本当の意味での再生だと考えています。
これからもこの本棚がご依頼者様とともに時を重ね、新たな思い出を刻んでいってくれることを願っております。
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