お預かり時のお写真

【修理・再生内容】
箪笥の機能面の復活。(割れ、欠け、扉の開け閉め)
ヤマト液を使用した砥の粉仕上げ。
底板の強度。
基本的に現状の取っ手金具はそのまま生かす。
扉の丁番金具は取り換え。
修理風景(進捗状況)
箪笥の金具外し

箪笥を洗うのと、修理をするためにまずは金具を外していきます。

現在の主流はプラスネジが主流なので、こういうマイナスネジが使用されているのも時代を感じます。
最近ではなぜ+ネジが主流かといいますと、
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プラスやトルクスのほうがドライバーが滑りにくい
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力が伝わりやすくネジをナメにくい
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電動工具との相性が良い
かといってマイナスネジすべてなくなったわけではなく、用途によっては今でも使用されてます。

扉が閉まらなくなっていましたが、この丁番が曲がってしまっているのと、

このビス穴には1箇所ビスも釘も止まっていなかったのが原因でした。
なので扉を支えきれなくなってしまっていたのが原因と思われます。

鍵穴の金具を外していきます。
表の鍵穴部分には穴周りを装飾する金具が取り付いてます。

鍵の構造自体は裏の金具が本体となります。

中には正面の鍵穴の金具が、このように止まっています。
2本の爪を正面から差して中で割って止めるタイプの金具です。

引出しの取っ手金具も2本の爪を差して裏で折り曲げて差し込むことで取り付けてあります。
割足とは、取っ手(引き手)金具の裏に付いている2本に割れた脚(足) のこと。
桐箪笥は柔らかいので表からビスで止めると、重たいものを中に入れて引き出そうとすると桐が割れてビスが引っこ抜ける場合があります。
割足なら面で押さえる固定になるから、表からビスで止めるよりも理に適っています。
ですが、現在の桐箪笥では割足よりもネジを差し込んで裏でナットで固定する方が主流かと思います。
割足金具を見ると古いものだとわかります。

金具の先っぽの出っ張っている打ち込みピンが上の穴にはまって箪笥のズレ防止になっています。

抜くとこんなにも長いです。
見てわかるように、この打ち込みピンは昔の職人が一つ一つ作ったものだと思われます。
この打ち込みピンは差してから頭の部分を玄翁で左右に叩いて穴の位置を微調整できます。

すべての金具が外し終わりました。
箪笥の洗い

箪笥を洗っていきます。
箪笥を傷めないよう中性洗剤を水で薄めたものを使って木目に沿って古い塗装や汚れを落としていきます。
桐箪笥の仕上げは天然の土(砥の粉)をヤシャの実を煮出した液とを配合したもので塗られています。
天然の物ですので人体には無害なのですが、その分塗った部分がカビやすいといった側面があります。
ただ、時間の経過した桐材の経年などは残しつつ洗っていきます。

ゴシゴシ洗っていると表面の古い塗装(砥の粉)や吸い込んだ汚れなどでグレーっぽい泡がたってきます。

良く洗ったら水で洗い流していきます。
箪笥をぶつけて押されて出来たような傷などは、この時に水分を含んで乾いていく過程で膨らんでくるものもあります。

洗ったら、箪笥の間に空気の通りをよくするように角材を挟んで重ねます。
桐は柔らかいので乾燥も早いです。

直射日光は避けた場所で乾かします。
といってもこの前日は雪が降り曇っていたので、多少の日差しはほしいところです。
ガタつきの修理(締め直し)

箪笥の接合部の接着剤が切れて緩んでしまった箇所や剥がれそうな箇所を木釘を打ちつけて締め直していきます。
この木釘よりも少し小さい下穴をあけて糊(ボンド)を入れて圧着させていきます。
この木釘は桐材の厚みに応じて大、中、小、と様々なサイズがあります。

古い桐箪笥は良くみると様々な箇所が緩んでいます。
そうした部分に糊(ボンド)を入れ木釘を打って締め直します。

桐材が厚い本体部分には大きめの木釘を打つことで箪笥をしっかりと締め直すことが出来ます。

引出しの底部分は本体に比べ厚みが薄いので小さめの木釘を打ちます。

矢印の部分が元の木釘が打ってある箇所です。
元の木釘もどれぐらい効いているのか信用できないので、元の箇所付近とその間にも木釘を打ちました。
引出しの底としてはかなりの強度を出せると思います。

緩んでいる箇所すべてに木釘を打ってしっかりとさせます。
割れ修理

箪笥の背板、引出しの底、箪笥の側、箪笥の裏、様々な箇所の割れを直していきます。

背板の割れを修理していきます。

割れている部分を均一な幅に欠き取り、その溝よりも0.3mm程度大き目の桐材を埋めて修理します。

幅を0.3mmぐらい大き目にしているのは「木殺し」することで溝に入れやすくするためです。
玄翁の頭で押して木の繊維を少しだけ殺します。

木殺しをしたら溝に玄翁で叩いて入れていきます。

埋め木をした部分に水を含ませたウエスで拭くと木殺しをした木が水分を含んで元のサイズに戻ろうとして隙間なく溝幅ピッタリに密着します。
桐材は柔らかいので、このやり方がうまくいきます。

背板の割れてしまっていた箇所を埋め木修理をしました。

箪笥の側部分の割れも同じように直していきます。

箪笥の横側の割れ修理が終わりました。

箪笥本体の底部分の割れも直していきます。

箪笥本体の底割れ修理が終わりました。

引出しの底板の割れも直していきます。
このように真っすぐな割れじゃなく曲がって割れるのもよくある割れです。

埋め木が終わったところです。
おそらく言われなければどこを直したのかわからないぐらいになったと思います。

幅広の埋め木ですので真ん中辺りが開いて接着が弱くなる可能性がありましたので、ハタガネで両サイドから圧着させました。

扉の割れを修理していきます。
ここは桐材を三角の形にしたもの(ハギ)をボンドを塗って入れていきます。
ハギとは剥ぎ・継ぎという言葉から来ています。
割れや欠けが生じた部分に新しい桐材を継ぎ足し、整形する技術になります。

ボンドが乾いたら切り落とします。

箪笥本体の一番下に欠けがありましたので、それを直していきます。

新しい材料だと修理した箇所が目立つので古い材で直していきます。

濡れたウエスで表面を拭いて古いトノコを落とします。

欠けた部分の修理が終わりました。
元の箪笥の色合い似ているので目立ちません。
埋め木の削り

埋め木をした部分は出っ張っていますので、鉋を使って平に削っていきます。

まずは余分な部分を切り落とします。

埋め木をした箇所の目違い(段差)を削っていきます。

削り終わりました。

目違い(段差)がなくなって平らになりました。
扉の歪み修理

扉の端が下の方はピッタリと本体にくっついていますが、上の方が隙間になっています。
ここが合っていないと扉が綺麗に開閉しないので削って合わせていきます。

下から上まで本体にピッタリとつきました。
表面の欠け・隙間修理

箪笥本体や引出しの角などが擦り減りや欠けが多数ありますので、それらを修理していきます。

どうしても箪笥の角はぶつけやすく欠けたり擦り減ったりしてしまいます。
削って取れるならいいのですが、削っても取り切れない部分は悪い部分を欠き取って埋め木して角を立たせていきます。

こうやって修理すると箪笥の角が立って引き締まった印象になります。

擦り減った部分に埋め木する過程で本体と引出しの隙間がなくなるように2mmぐらい下に出っ張らせて埋め木します。

このように欠けたり・擦り減ったりしている部分をすべて直します。

ボンドを塗って圧着させます。

乾いたら鉋で目違い(段差)を削ってフラットにします。

引出しの角に埋め木した部分の目違いも削っていきます。

台輪も良く見ると欠けているので直していきます。

綺麗に直りました。

箪笥の擦り減りを直しながら隙間も直していきます。

下段の引出しを入れた状態の隙間を測りましたら約2mmありました。
埋木をする際に、この2mm分下に出して隙間を無くします。

無駄に削ることがないように、なるべくピッタリのもので埋め木していきます。

その他、欠けや潰れてしまっている箇所を欠き取り埋め木にて修理いたしました。

扉のビス穴が金具の穴以上に開いているのを見ると、以前にも扉を取り外して、新たに付け直したのだと思います。
もしかすると以前に削り直しに出したのかもしれませんね。
このままだと扉の金具を付ける時ビスの効きが悪くなるのでビス穴も埋め木で修理しておきます。
続きはこちら→古い桐箪笥を砥の粉仕上げで未来へ繋ぐ その2
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