お預り時のお写真


【修理内容】
- 仕上げの色は、同じような色に
- 金具は現在の物をそのまま使用
- 修理に鉄釘を使用しても良い
- 箪笥本体と引き出し上部の隙間はそのままで良い
- 本体と引き出しの面の歪みはこのままで良い
- 虫食い部分は殺虫処理、箪笥を良く洗い虫穴密集は埋め木修理
- キャスター(ストッパー付き)
修理風景(進捗状況)
金具の外し

箪笥を洗う前にすべての金具を外します。
古いものですので、金具を外すと裏に埃りなどがたまっていました。

箪笥の横金具を外してしるところです。

すべての金具を外し終わりました。
虫穴スプレー

箪笥を洗いながら虫穴のある所に殺虫スプレーを流し込んでます。
一通り箪笥の状態を見ましたが、おそらくですが、今ある虫穴は昔のもので現在は虫の形跡は感じられませんでした。
念のためスプレーを使用しました。

このスプレーは虫穴の近くにいる虫には効果がありますが、深くにいる虫と卵から孵化していない虫には効果は限定的です。

絶対とはいいきれませんが、この箪笥に関しては虫の心配はいらないと思います。
念のため穴という穴にスプレーをしておきました。
箪笥の洗い

この和箪笥は正面以外のほとんどが杉材で出来ています。
天板・側板・背板・棚板など、古い杉は水をジャバジャバかけると乾燥していく過程で反ったり曲がったりなどが出る可能性がありますので、中性洗剤を水で薄めたものをウエスに染み込ませて洗いました。

箪笥の中も同じように洗いました。

箪笥の洗い・クリーニングが終わりました。
割れ・欠け・傷の修理

箪笥の横側の深い傷を直していきます。
似たような木目の杉材で埋め木をしていきます。

埋め木をする形に合わせて掘りこみます。

ボンドを塗って金槌で叩いていれます。

このように埋木することで、多少色味が合わなかったとしても模様(デザイン)に見えるようになります。

箪笥本体の正面の枠の部分の欠けを直していきます。
欠けている右側は三角で刺すような加工が施されていますが、中は「片胴付き大入れ継ぎ」で正面から見ると「剣留め」になっています。
剣を刺すような継ぎ方なので、このような名前なんだと思います。

箪笥の正面には硬い広葉樹が使われていましたので、ケヤキ材を使用して修理することにしました。
古い和箪笥(戦前)では国内の木材がほぼ使われていたと思うので、国内で広葉樹で硬い木材と言えば限定的になります。
欅、桑、栗、栓、この辺りの樹種じゃないかと思います。
引出しの木目を見るとケヤキが本命じゃないかと感じます。
ただ、本体正面の木目を見るとやけに木目が細かく真っすぐにスーッと通ってるところを見ると、ケヤキの柾目が使用されている可能性が高いような気がします。
引出しの正面みたいに面積の大きい箇所にはケヤキの荒々しい木目が目を引くので和箪笥によく使われます。
逆に箪笥本体は、狂いにくい柾目を職人が好んで使用していた可能性を感じます。
もちろん、箪笥本体の正面だけ木目が似ている栓の木が使われていることもあります。

埋木する部分の形状に形を整えています。

綺麗に収まりました。
左も三角に加工して剣留めのような形にしました。
ぶつ切りのように真っすぐカットした形状でもいいのですが、デザイン的要素もあり、辺の数が増えるほど接着が強くなり剥がれにくくなりますので今回はこの方法で修理しました。

引出しの底や背板の割れを直していきます。

真っすぐ割れていれば欠き取る面積も少なく済むのですが曲がった割れは、欠き取る幅が増えます。

箪笥の底は杉材なのですが、埋め木修理では桐を使用します。
杉も木材の中では柔らかい部類なのですが、桐に比べると硬いです。
埋木は少し大きめにして両サイドを木殺ししますので、桐の方が埋め木後の密着がいいので、ここでは桐を使用します。

箪笥の背板の割れを直していきます。

背板の割れにはハギを埋め木して修理します。
写真のように三角になっている先端を割れに刺すように入れます。

このハギにボンドを塗って割れに入れて金槌で叩いていれます。

背中からハギを入れたら、その裏側(つまり表)からもハギをいれることで、裏と表両方からハギを入れ1本の木を入れたのと同じようになります。

ハギ接ぎ修理が終わりました。

その他、欠けやめくれなど目立つ部分は埋木して直します。

糊が乾いたら鉋で削ります。

割れ欠けめくれ、つぶれ、など埋木で修理致しました。
塗装の剥がし、磨き

箪笥の背板の汚れなどを落としていきます。

背板が綺麗になりました。

箪笥正面の塗装を剥がすのですが、ペーパーサンダーをかけるとペーパーがすぐに噛んでしまう。
この場合、アルコール染料で着色してある可能性が高い。

アルコールスプレーで吹き付けて塗装を溶かします。

ウエスで拭き取りながら塗装を剥がします。

アルコールが乾くのを待ちます。

古い塗装の剥がしが完了しました。

比較して見ると綺麗に素地になったのがわかると思います。
正面に使用されている木材の硬さ・重さ・木目を見るにやはり欅(けやき)の可能性が高いです。
※あくまで私の感覚です。(栗、栓、の可能性もあり)
欅材は今では超高級材です。
ただ昭和初期は高級材ではあったけど、今よりずっとケヤキが手に入りやすかった、安かったと言うよりも流通量が多かったので、現在ほど価格ではなかったのでは?と思います。
明治〜昭和初期はまだ日本の山に
-
ケヤキ
-
ナラ
-
栓(セン)
-
栗
こういう広葉樹の大径木が普通に残っていたんですよね。
当時はまだ
-
大規模な森林伐採が本格化する前
-
外国材の輸入も少ない
つまり
国内材中心の時代だった。
現在では、国内に大きい欅材は少ないので、とても貴重なんです。
キャスターの下地

キャスターをビス止めできるように下地を作ります。
中が空洞だと歪みの原因になりますので平面を保てるように下地を取り付けます。

下地の上に板材を被せます。

キャスターは、こんな感じで取り付ける予定です。
塗装前の養生

塗装をする部分以外は養生をして塗装から保護します。

引出し・本体それぞれ養生が終わりました。

元の色と同じようにするために、おそらくですが同じ性質の塗料を使用します。
アルコール染料で着色いたします。
昭和初期~中期にかけて和箪笥で良く使われていた染料なんです。

染料の赤を薄めたもので塗っていきます。
木目にしっかり色が染まりやすいのですが、全体の色味を調整するのにちょっと工夫がいります。

全体を塗ったら余った染料をウエスで拭き取ります。

乾いたらもう一度塗り重ねます。
1度目よりも少し濃くした赤を塗っていきます。

本体、引出しそれぞれを塗っていきます。

最初赤で塗った後に、今度は黒を上から塗っていきます。

原液そのままだと黒が強くなり過ぎるので、かなり希釈したものを塗ります。
黒を入れると黒が木目に入り深みが増します。
赤と黒の濃淡も出来るので見た目も味わい深くなります。

比較してみるとわかりやすいですね。
右の方が深みが増し木目が黒に染まっているのがわかると思います。
着色が終わったので良く乾かします。
ラッカーで上塗り

今回使用する上塗りはセルロースラッカーを使用いたします。
ウレタンは塗膜(保護膜)は強く高級感が出ますが、仕上げたその時は1番綺麗で、それが長く続きます。
セルロースラッカーは、使い込んで艶が出たり、飴色に変化したりと経年変化が楽しめます。
着色だけで綺麗だからそのままでも良いのですが、このままだと色が剥がれやすいんですよね。
なので上塗りが必要なんです。

下吹き、中吹き、仕上げ吹き、の3工程で仕上げていきます。
仕上げ吹きだけでも綺麗なのですが、中吹きをした方が少し塗膜が厚くなり立体感が出るように思います。

本体の天板と側板は透明なオイルで塗り吹き仕上げしていきます。

木目が立ち、綺麗になりました。
金具の磨き

金具のクリーニングを兼ねて表面をコンパウンドで磨いて曇りをとります。
新品のように綺麗になる訳ではないですが、多少の艶が出ます。

全体的に少しだけ金具の光沢がでました。
金具の取り付け

金具を元の場所に取り付けて仕上げていきます。

キャスターの外周が箪笥の幅に収まるように取り付けました。
和箪笥のリペア完成写真





木目が見えるように仕上げましたので、独特な木目が楽しめます。

埋木部分が見えますが、デザインと思って頂けると幸いです。
同じ杉材を埋めてあるので経年で色はだんだん近づいてくると思います。

上写真はキャスターにロックがかかっていない状態です。

上写真がキャスターにロックをした状態です。
キャスターをつけると思い箪笥の移動が楽になります。
お部屋の中、自由自在に配置できます。
【お客様の声として】
仕上がりの美しさや引き出しの滑らかな使い心地にご満足いただきました。
また、職人の手仕事の価値を感じていただけたとのご感想を頂戴いたしました。
温かいご感想を頂戴し、大変ありがたく存じます。
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