お預かり時のお写真
箪笥の状態
箪笥の虫食い状態が全体に広がっています。
箪笥の引き戸・引き出しの正面が広範囲に虫に食われていますので、それに応じた修理をしていきたいと思います。
修理風景・進捗状況
修理する際に金具が邪魔になりますので、金具を外していきます。
金具が外し終わりました。
背板は割れ・虫食い多数で、交換することにしました。
箪笥の中にも割れ節、虫食いがありましたので、背板を外した方が修理がしやすいって言うのもあります。
背板を外すと、背板の接地面が虫で食われているのが良くわかります。
箪笥を良く洗い、良く乾燥させます。
台輪の修理をしています。
見た目以上に中が虫で食われていました。
台輪は作り直すことに致しました。
引き出し正面も、良く確認しましたが、中は虫食いでスカスカになっていましたので、現在の正面を使うことは出来ないと判断しました。
削り直しをする際、削れば削るほど、虫食いが出てきてしまいますので。
現在の引き出し正面を剥がします。
このように中は全体に虫食いが広がっていました。
引き出しは虫に食われてしまった部分まで取り除き、全面張り替えすることに致しました。
その中でも１つだけ、深くまで虫が浸食してしまった部分は新しく作り直すことにしました。
引き出しを１度分解して、前板を作り直し、新たに組み上げていきます。
虫食いの前板が綺麗になりました。
箪笥本体や引き出しに割れが多数ありましたので、割れなどを直していきます。
割れは埋木にて補修していきます。
糊が乾いたら目違いを鉋で削っていきます。
箪笥の底部分も割れた多数ありましたので、埋木にて修理。
帆立部分も虫に食われてしまっていたので、交換していきます。
緩んでいる箇所は糊を入れて木釘で締めていきます。
底板の虫食いや割れを修理したら、帆立部分を新しい桐材を取り付けていきます。
桐箪笥の底板や帆立の修理が終わり、糊で固めています。
糊が乾いたら木釘を打って強度を強くします。
箪笥は３段に分かれるので、それぞれの底板を修理。
虫に食われてしまった箇所や割れなどは埋木にて修理していきます。
引き出しの底部分の割れなどを修理していきます。
桐の角材の幅で割れや虫食いを綺麗に取り除き、ゆるんでいる箇所を木釘で締めています。
埋木が終わったので糊が乾いたら目違い（段差）を鉋で削っていきます。
経年であらゆる場所がゆるんでしまっていますので、糊を入れて締めていきます。
緩んでいる箇所は、すべての箇所をこのように修理していきます。
箪笥のあちこちに節穴などがありましたので、目立つ部分は埋木をして直していきます。
箪笥の上段の引き違い戸の中の半棚も割れなどがありましたので、修理してから取り付けていきます。
半棚を取付けています。
半棚の取り付けが終わりました。
剥がした背板を新しい桐材と取り付けていきます。
背板の取り付けが完了しました。
糊が乾いたら木釘を切り落としていきます。
引き出しの正面と本体の枠正面の張り替えが終わりました。
引き出し正面と本体の枠の正面を削って面を合わせました。
本体の側面部分も削ります。
箪笥の修理と削りが完了しました。
引き戸は虫食い跡が広範囲に深くありましたので、元の引き戸を直すのを断念しました。
本来は、なるべく使える部分は残して修理するのですが、割れている中まで虫に食われてしまっていましたので作り直すことにしました。
新しい桐材で引き戸を作りました。
引き戸の溝部分の寸法を測ります。
溝幅を引き戸に写し取るのに毛引きを引きます。
毛引きで引いたラインに合わせて昇降盤で切り欠きしていきます。
箪笥の溝（レール）にハマる部分が出来上がりました。
台輪も虫食いの為、新しく製作していきます。
台輪のすべての部材を寸法でカットしました。
台輪の中央は隙間があくデザインでしたので、元の台輪を使用して写し取ります。
加工が終わりました。
台輪の製作が完了しました。
砥の粉を塗る前に浮造りという加工を施します。
夏目の柔らかい部分、冬目の硬い部分で、凹凸を作り木目を際立たせていきます。
浮造りが終わったら、最初の塗りをして、もう一度塗る二度塗りにて仕上げていきます。
二度塗りが終わり、乾いていく途中の写真です。
砥の粉が乾いたら、カルナバ蝋を表面に塗っていきます。
若干の光沢と、手垢防止などになります。
現在の科学塗料がない時代に考えられた仕上げ方法です。
カルナバ蝋を塗った引き出し正面。
光沢が出ているのがわかると思います。
蝋塗りが終わりました。
新品の金具を取り付けていきます。
金具の取付けが完了しました。
砥の粉を塗った部分に塗ったカルナバ蝋と種類の違う蝋、イボタ蝋を引き出しや引き戸を動かした時に当たる部分に塗ります。
カルナバ蝋と比べると蝋が柔らかく材によく擦り込むことが出来ます。
滑りを良くするために特化した蝋かと思います。
完成写真
右に回すと鍵がかかります。
左に回すと鍵が開きます。
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